花の名前

また一つ峠を越えたので映画を沢山観た ゴーストワールドTRICK ラストステージ、モヒカン故郷に帰るきょうのできごと、恋人たち 映画は空洞なわたしにはするする浸透するので何本も観ても苦ではない ゴーストワールドがわたしは特に印象に残った 緑の髪、卒業式と同じ赤い服、それで死へのメタファーとも言える乗客が居ないバスに乗り、街灯がぽつぽつとしかない道路の先に消える 主人公のイーニドとは痛いほど重なった こんな重ね方をしている娘なんて沢山居そう でもしばらくはわたしだけの感覚だと思っていたい どう考えても彼が好きだけど全く甘い関係とは言えずに昇華していったこと 信じていたけど嘘だったこと ファックユーとも思っていても声高く語る人物には勝てないこと 悪口を言ってヘラヘラしたこと もうティーンエイジャーではないのに未だモラトリアムで恥ずかしいが ファックユー もう要らないと捨ててしまいたい クソッタレな貴様ら 分かるよ レコード回して積み上げたCDが崩れた 変な指輪があんたの親指に絡んでいたのが未だ忘れられない フラフラになりながら23時も、4時50分も未だ シーモアのようで厭だった 何もかもフラッシュバックするスクリーンも 知らない花の名前を語って、生温い潮風を浴びて、よく分からない夜明けの光が射して 思い描いたそのままの景色ならば死んでしまいたい